PhotoNicoコレクターインタビュー:鈴木雄二の場合<後半>
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最終更新日:2017/04/18
作品制作のヒント
前回に引き続き、PHaT PHOTO写真教室講師で作品のコレクションも長年されている鈴木雄二さんにお話をお聞きしています。
ご自身の生活環境の中で、コレクションするということはどのくらい影響がありますか?
今は20〜30程度の点数を持っています。けっこう飾っています。もちろん全部は無理なので掛け替えています。コレクションそのものがどのような影響を及ぼしているかはわかりませんが、部屋の空気感とか雰囲気をなにか欲している時に、それに合わせて掛け替えたりはします。それはちょうど、クリスマスにクリスマスツリーを飾りたいと思うそんな気持ちに近いかもしれません。そんな難しい考えではないのです。夏だったりすれば、お盆とか終戦記念日とか平和に関するニュースとかも流れてくるじゃないですか、そういう時に内藤礼さんの原爆で被爆した瓶に花を活けた作品があるのですが、そういうのを飾ってみるとか。
そういう時期的なものもあれば、あと、もっと単純に自分の気分を変えるために飾る写真を変えたりもします。
かと言って、こういう時に壁にかけるため、みたいなことではもちろん買いません。そいう視点では買うことはなくて、あくまで作品と出会うことがまず大事で、そういう条件を無意識に欲していると引き寄せることはあるかもしれませんけど。
そこがリンクしているかはわかりませんが、買う基準のひとつとして、「部屋に飾る」というのが目的でもあるので、たとえばあまりに大きなものとか、すごい世界観は好きでもあまりにも精神的に重たいものとか、ちょっと考えたりはします。日常生活に取り込むという点は大切なので、写真集では持つかもしれないですけど。
どちらかというと、ワクワクするとかインスパイアされる、そういったものを置くことが多いので、一般的にはどこか小難しい写真もあるのかもしれないですけど。ああでもこういう価値観あるよなっていう気持ちを忘れないためにも、飾ることも多くて。
投資目的などでもないので・・そんな価値観へのリスペクトがあって、最近はモニュメント的な、その買った時の気持ちを思い出すとか象徴的な感じで飾っていたりしますよね。
予算や大きさの制約がない状況だとしたら今欲しい作家(の作品)などありますか?
大きい作品が欲しくわけではないですが、ただ大きいというよりは、極論を言ってしまうと写真作品とそれに合う建物、つまり空間ごと欲しいですよね。 直島にある杉本博司の「光の棺」作品のように。ちなみに、普段は飾るスペースの制約があるので、プリントサイズを作家さんに相談したらリサイズして貰ったこともあります。なので、諦めず相談してみることもオススメです。
欲しい作家さんは…いっぱいいすぎて。若手から巨匠までいますよ(笑。名前出そうとするのは難しいですね。あとはその時々で自分の個人的な流行、自分がその時気にしている出来事やモノゴトに合うタイミングの作家とか。そういうのも欲しい・欲しくないという点の判断基準にあると思います。
日本の一般層において写真(アート)はなかなか売れないという現状がまだまだあると思いますが、そのあたり鈴木さんはどのように見ていますか?
ただ単純に、買うという文化に接していないのではないかと思う。経験がないだけというか。そういうのは僕ら(講師)などがもっと伝えていけないといけないのかもしれませんが、とにかく情報が少ないですよね。
実際、自分が担当するクラスとかで作品を買ったことととか話したりすると、それが伝播して生徒さんも買ったり、そう考えるとホントに単に情報として持ってないだけなんだなと。
難しいと思われたりするのは、ある程度「写真を読む力」みたいなのが必要でもあると思いますね。そうしないと楽しさもある意味でわからないというか。
いずれよにしても文化として育ってない、まだ知らない世界である、それだけなのかなと。
今回のフォトニコに期待することはありますか?
そういう文化を育てようとしているフォトニコは良いと思いますよ。
自分の作品を買いたいと思ってくれる人がいるんだっていうことを知ってない人が多いし、買ってみるとこういう楽しさがあるんだっていうことを知っていない人も多いし、当然金銭的なことも発生するのでそう簡単に・・ともいかないかもしれませんが、そういう意味ではフォトニコは敷居を下げているというか、ちょっとづつ触れようというかね、そういうところがすごく良いなぁと思いますよ。
そういう楽しみ方を知る良いきっかけにもなると思うので。そういうことをコツコツやっていけると、みんなで共感できるようになっていくんじゃないかなという気がしますけどね。
<編集後記>
コレクションする!、と言うと「投資目的」とか「収集」というような観点に聞こえる部分もありますが、鈴木雄二さんは、作家とその作品の持っている空気感と「共に生きる」ような、より親密な関係性を築き上げているように、聞いていて思いました。個人の意識的な文化側面から大きくなってそれが社会に拡がっていけばいいなと改めて感じる会話の機会でした。
また、最後に、チラッと額装も楽しいですよ、と言っていたのも密かにまたお話きけると良いなと期待したいところです。
フォトニコ・ファイナル
展示するとともに、買ってみる・買ってもらうがどんな行為か経験してみること。締切を設定して制作すること。同じ方向性を向く仲間ができること。フォトニコに参加することで見いだせることは数多くあると考えています。継続して参加して頂いている方、過去に参加したことのある方、いつか参加しようと思っていた方、ぜひ今年もご検討よろしくお願いいたします!
パリフォト・サテライト展示 -nico-
フォトニコ延長企画として フランス展示(11月)も併せてご検討ください。
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