写真作品のエディション(edition)について

公開日: : 作品制作のヒント

「エディションって何ですか?」「エディションはどうやって設定すればいいですか?」フォトニコ会期が迫って、このような問い合わせが来るようになりました。

0612_e1
 

写真は複製できるメディア

写真は複製できることが特徴といえます。でも、たくさん複製されたものが出まわった場合、作品を購入する側からすると 希少性 という価値・所有感が薄くなってしまいます。

油絵の肉筆画なら1点のみでしょうか。湯のみ・茶碗のような陶器であれば、釉薬や火の入り方の違いで同じものは出来ません。それぞれ「オリジナル」という価値があります。

そこで写真の場合「この作品は○○枚しか刷りません!」と宣言にあたるのがエディションです。(正確には「刷りません!」でなく、あらかじめその数を用意しておく必要があります。)

その枚数を1,000枚(ed:1,000)に設定したら希少とは言いがたいですね。一方、1枚にしたらどうでしょうか?

エディション設定するにあたり、様々な考え方があります。私の知る限り作家としての意識のある方の場合、作品エディションはだいたい一桁です。それも不思議と奇数、「ed:5」・「ed:7」・「ed:9」という数字をよく見かけます。

一方、複製制限を設けない「エディション・フリー」という考え方もあります。すべての購入者が希少性を求めている訳ではありません。

あと、売れるに従って作品価格が段階的に上がる「ステップアップ・エディション」という設定方法もあります。(「ステップ・プライス」と言うこともあります。)

実際のエディションについては、インターアート7 代表の 小林 貴 さんをゲストにお招きするイベント「クロストーク 海外・作家・販売」で話題になると思います。

また、招待作家として1Fで参加されるプリンター 遠藤 隆 さんに相談されてもいいと思います。
 

エディション豆知識

エディション・ナンバーは、紙の余白部分や裏面、プライスカードに「2/5」「ed:2/5」のように分数で記入されます。この場合、5枚限定の2枚目という表記です。

また、エディション(ed)の他に、「ap」も見かけます。apとは作家保存用の「artist proof」のことです。販売用のエディションの他に作家所有・保存用としているものがあるということです。

  • ED (edition) 商用の限定部数
  • AP (artist proof) 作家保存用
  • TP (trial proof) 試作版
  • CTP (color trial proof) 色校正用
  • RTP (right to print) エディション刷りの見本、最終版
  • AC (archive copy) 資料用保存版
  • CP (cancellation proof) 失敗版

私の場合は

年に数件程度ですが、私の作品にも問い合わせがあります。そこで、エディションを設定したことはありません。つまり「エディション・フリー」の作品として販売しています。

作家・立場によって様々か思いますが私の作品を購入される方は、希少性をあまり求めていないように感じます。主にインテリアとして、そして 作家活動の応援として 購入してくださっているようです。

0612_e

スマホ用

関連記事

写真販売ロジック3:視点のわけまえ

写真販売ロジック1:斜め横からつながる 写真販売ロジック2:心おきなく売る で新しい機会と立場をお

記事を読む

【海外写真コンペ情報 vol.11】IPA2015年の応募について

2015年 IPA(International Photography Awards) 〆切は6月3

記事を読む

【海外写真コンペ情報 vol.9】International Photography Awards、今年の審査員

さて、IPAはPX3よりも審査員が多くリストされていて100名以上います。   Dav

記事を読む

正解ってなんだろう? SHIDAX CULTURE WORKS 体験写真教室のこと。

先日SHIDAX CULTURE WORKSで本講座前の体験講座を行いました。 体験講座とはど

記事を読む

【海外写真コンペ情報 vol.7】International Photography Awards(IPA)について

PX3とIPAはどうやら根っこが一緒なので、PX3の次のテーマとしてInternational Ph

記事を読む

【海外写真コンペ情報 vol.4】 PX3の「毎年コンペ」と「テーマ別コンペ」

PX3では毎年春頃に開催のコンペがオープンになっています。それが The 2015 Px3 Annu

記事を読む

【海外写真コンペ情報 vol.6】 PX3 応募方法

PX3応募方法の基本的な流れとしては、以下の感じです。 はじめての場合は、アカウント登録します

記事を読む

SDカード その3:数あるメーカーの中でどれを選ぶ?

SDカード(記録メディア)の紹介をしてきました。今回は、“その3:数あるメーカーの中でどれを選ぶ?”

記事を読む

【海外写真コンペ情報 vol.3】けっこうみんな出しているPX3

PX3(Prix de la Photographie, Paris) 海外写真コンペの紹介は最初

記事を読む

写真事務所の求人情報

写真を趣味で写真をはじめてみたもの、続けているうちに仕事としてやっていけたらと思うことがあるかと思い

記事を読む

スマホ用

スマホ用

  • <2016年>
    ・点数:32点
    ・総額:365,200円
    (Tokyo Institute of Photography)

    <2015年>
    ・点数:191点
    ・総額:1,225,956円
    (渋谷ギャラリー・ルデコ)

    <2014年>
    ・点数:141点
    ・総額:1,233,925円
    (渋谷ギャラリー・ルデコ)

【豪徳寺AIR】 作家と実験・体験する空間

フォトニコ開催からしばらく経ちましたが、その後フォトニコOBと顔をお合

佐藤 真那人写真展「静謐」@キヤノンギャラリー銀座

2016年フランス展示メンバー、佐藤 真那人がキヤノンギャラリー銀座に

佐々木 俊明「美しい嘘」 A.W.P Selection 2018-次世代を担う写真家たち-

2017年パリ展示メンバーの佐々木 俊明が本日より開催の企画グループ展

第3回 Art Potluck 開催レポート

6/2(土)に開催された、第3回 Art Potluck 開催レポート

2018年パリフォト・サテライト展示 -nico-

2016年11月にプロトタイプ企画として、パリフォト・サテライト展示を

PAGE TOP ↑